--BEST BUY BIG BIKE-- 『ビッグ・バイクの奨め』 SUZUKI Bandit 1250S ABS

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スズキ
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Bandit 1250S ABS。ライダーの身長は178cm。(※写真上でクリックすると両足時の足着き性が見られます)

 Bandit 1250S ABSは、スズキの誇るビッグネイキッド。名機と謳われた「油冷エンジン」を搭載した、1995年発売のGSF1200がルーツで、2000年にBandit1200というネーミングを冠し、’07年に水冷化。エンジンを水冷化するという大幅な変更を受けても、他の構成はほぼ従来型を踏襲する、というキープコンセプトを続けてきたモデル。つまり、それほど「Bnadit」というパッケージが完成されている、ということなのだ。
 
 跨っても走り出しても、Banditは誰にでも恐怖感を与えないビッグバイクだ。足つきはシート高の数字よりずっとよくて、これはシートの着座位置あたりの両エッジ、シートの内モモが当たる部分がうまく削り取ってあるから。このポイント、スズキはすごくうまい。足つき性を、シート高ではなくて「またぎ長さ」で考えているからだろう。
 
 1250cc、100psもあるというのに、大馬力感は少ない。アイドリングすぐ上の回転域からトルクがあって、その力の出方もぜんぜん唐突じゃない。ジワッとトルクが出て、車体がスッと出る。トルクがあるエンジンって、力がドンと出る特性のモデルもあるんだけれど、Banditはそうじゃないのが特徴。スロットルのオン・オフに対する反応がジワッと穏やかで、スムーズさが徹底しているのだ。
 
 取り回しは、油冷時代よりも30kg以上も重くなってしまったけれど、重心がうまく低いところに設定されているのか、重さを感じない。ここは、初めてビッグバイクに乗る、大きさや重さ、パワーに不慣れ感があるユーザーにBanditをおすすめしたい大きな理由だ。
 

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 走り出してみると、低回転域のトルクがジワッと出てくるのが歴代Banditの特徴で、最大トルクの発生回転数も3500rpmと低めに設定されている。この回転域は、あまり引っ張らずにシフトチェンジしていく回転域で、その上の回転域ではさらにグンと伸びる。
 
 6速でどんどん回転を落としていくと、1000rpmを切ったあたりで40km/hくらい。そこからスロットルを開けていってもきちんと加速する。人通りの多い住宅地なんか、40km/hで4~5速で走れば、エンジン音もほとんどない、ジェントルな走りができるのがいい。
 
 ただしこの特性は、ある回転域からグンと盛り上がるようなフィーリングがなく、あくまでフラットトルク。扱いやすいという半面、ドラマチックな側面がない、と感じるポイントかもしれない。その意味でも、むやみに飛ばすことがないベテランライダーやビッグバイクビギナーにお勧めしたいポイントだ。
 
 そして、いちばんBanditの走りのよさを感じられるのは、ポンポンとシフトアップしていって、早めに6速に入れてクルージングしたとき。6速80km/hは約2500rpm、100km/hは3100rpm、120km/は3700rpm。もちろん、そこから加速するとどんどんスピードは乗ってくるんだけれど、スピードの乗りはCB1300SFやDAEGよりも遅いと思う。ただし、これは決して欠点ではなくて、これがBanditの良さのひとつなのだ。
 
 クルージングのときも車体の動きが緩やかで、きちんとサスペンションがストロークしているのがよくわかる。決してソフトすぎないけれど、乗り心地が良く、しっかりダンピングも効いているようなフィーリング。思いっきりツーリングに振るならば、もっとバネが柔らかい方がいいんだろうけれど、Banditはちょうどいい。ツーリングもワインディングもきちんとカバーする、バランスのとれた特性といえるだろう。
 
 そのワインディングでは、前後ともサスペンションのストロークがしっかりあって、乗り心地をきちんと確保したうえで車体が動くフィーリング。ライバル車の中では唯一のモノサス車で、これは、ルックスや雰囲気を重視した「ビッグネイキッドのセオリー」としてのツインショックよりも、車体の動きを重視した結果だろう。もちろん、サスペンションがフルストロークするような荷重をかけるコーナリングを狙うバイクじゃないけれど、低速域での乗り心地と、スピードを上げていった時の踏ん張りを両立するもの。
 
 ハンドリングで特にお勧めしたいのが、低速域の動きだ。たとえばUターンなど、エンジンはアイドリングでハンドルをグッと切るような時の安定感だ。これは小さい路地を回って行く時とか、渋滞で車列を抜けて行く時に感じる美点で、低速でバイクを動かすのがラクなのだ。大げさに言えば、スラロームやジムカーナ的な回転域やスピードでバイクを動かしやすい、ということ。それも、ライダーがコントロールした通りに動くもので、バイクがぐいぐい曲がって行ったり、感覚より遅れてしか反応しない、ということがない。これが、バイクをコントロールするうえでいちばん恐怖感がない特性だといえるだろう。
 
 ロングツーリングがいい。それでも、ワインディングや街乗りをきちんとカバーするBandit。あえてポジション分けをするなら、ツーリング4、街乗り4、ワインディング2くらいの使い方をするライダーにいちばんマッチするかもしれない。
 
 Banditは言わば気を張ってオシャレをするよりも、いつものジーンズとTシャツで出かけるようなリラックス感があるバイクだ。食事のときに新しい店を開拓するよりも、お気に入りの定食屋に入ってしまうようなホーム感。とびきりの高めなムリめ美人よりも、親しみやすい笑顔がかわいいコ、そんな感じかな。
 
 輝くような華はない、けれどずっと乗っていくと、飽きを感じさせない。ポンポンと買い替えるよりも、1台を大事に、長く乗りたいライダーに、ぜひ。
 
(試乗&文:中村浩史)

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CB1300SF、XJR1300、ZRX1200DAEGのライバルの中でも、Banditのみリンクつきモノショックを採用。日常スピードでの差は大きくはないが、低速走行の乗り心地と、高速クルージングの踏ん張り感の両立はモノショックならでは。 水冷DOHC4バルブ4気筒エンジンは、油冷時代よりもストロークを5mm伸ばして、排気量は1156ccから1254ccへ。インジェクション、6速ミッション仕様で、2次バランサーつき。振動は抑えつつ、抑えすぎていないフィーリング。 絶対的な制動力はもちろん、コントロールしやすさが印象的だったブレーキ。正立フォークはソフトなセッティングで、乗り心地の良さもしっかり実感できる。ABSは標準装備で、純正タイヤはダンロップD218。
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ハーフカウルは、ちょうどシリンダーヘッド部分まで覆う形状に変更。走行風の大幅な低減は実感できなかったが、ひざまわりにあたる走行風がうまく整流されているという。タンデムでのウィンドプロテクションも考えられている。 2眼式メーターは、左にタコメーター、右にデジタル表示のスピードメーター。オド&ツイントリップ、燃料計と時計を表示するが、フルカウル版の1250Fのメーターはギアポジションインジケーターとシフトアップランプも装備する。 タンク容量は19L。ちなみに今回の取材での参考燃費は、高速メインで20.6km/L、市街地メインで17.7km/Lといったところ。19Lタンクでは、ワンタンク最高400km近くの航続距離があると考えると、なかなかの旅性能だ。
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シート高は790/810mmに調整可能。シートは前後セパレートに見えるが、前後一体式で、前後の段差がちょうどシートストッパーになる。シート下は大きな収納スペースこそないが、ETC機器が収まるスペースは確保されている。 タンデムライダーが握りやすい形状のグラブバーを標準装備。荷掛けフックつきで、タンデムステップ部のフックと合わせた前後左右4か所が使いやすい。テールランプ形状は、ちょっとヘッドライト形状と統一感を持たせている。 マフラーエンドのテールキャップ形状も変更。フルカウル版の1250Fとも形状が変わっているが、性能に影響を及ぼすパーツでもないため、今後統合されるはず。
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■SUZUKI Bandit 1250S ABS(EBL-GW72A) 主要諸元

●全長×全幅×全高:2,130×790×1,235mm、ホイールベース:1,480mm、最低地上高:135mm、シート高:790/810mm、車両重量:252kg、燃料消費率:27.0km/L(60km/h)●エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ、総排気量:1,254cm3、ボア×ストローク:79.0×64.0mm、最高出力:74kW(100PS)/7,500rpm、最大トルク:107N・m(10.9kgf-m)/3,500rpm、燃料供給:F.I.、始動方式:セルフ式、燃料タンク容量:19L、変速機形式:常時噛合式6段リターン■タイヤ(前+後):120/70ZR17M/C 58W+180/55ZR17M/C 73W、ブレーキ(前+後):油圧式ダブルディスク+油圧式シングルディスク、懸架方式(前+後):テレスコピック式+スイングアーム式、フレーム形式:ダブルクレードル
■メーカー希望小売価格:1,112,400円(消費税抜き:1,030,000円)


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