新発売 ダンロップ スポーツマックス α-14「 α-13から正常進化+ライフ20%向上のロングライフハイグリップ!」

新発売 ダンロップ スポーツマックス α-14 α-13から正常進化+ライフ20%向上のロングライフハイグリップ!

ダンロップのハイグリップラジアルタイヤブランド「α(アルファ)」シリーズが、これまでのα-13からα-14へとモデルチェンジ。軽快性を高めたハンドリングとしなやかな特性を持たせたことで、走行性能では正常進化を果たしていると共に、ライフも向上させての登場だ。まずは気になるインプレッションから、そして技術的なことにも興味のある方は後半へ読み進んでください。


 ●文:ノア セレン 
●撮影:徳永 茂  
 ●取材協力─ダンロップ http://ridersnavi.com/

いざ試乗!


筆者に用意された車種は、スズキGSX-S1000とヤマハMT-09。それぞれ同じ機種にα-13が装着されたものと、最新のα-14が装着されたものが用意され、なるべく近い条件でその違いを試せる環境が用意された
筆者に用意された車種は、スズキGSX-S1000とヤマハMT-09。それぞれ同じ機種にα-13が装着されたものと、最新のα-14が装着されたものが用意され、なるべく近い条件でその違いを試せる環境が用意された。

 試乗はまず筑波サーキットでの走行で、後に公道でも乗り比べるという十分なメニューが用意された。また旧モデルであるα-13を装着した同機種も用意されるなどダンロップはかなり力を入れてこの商品のアピールをしていることが伝わってきた。
 まずはサーキットにて。筆者に割り当てられたのはスズキGSX-S1000とヤマハMT-09であり、α-13が装着された方からコースインする。この寒い季節でも1周半ほどタイヤを温めていけば十分に安心感が得られ、3周目にはアタックを開始できた。アップハンでカウルのないGSX-S1000はフロントが軽く、強大なパワーをかけていくとリアがグッとトラクションしてフロントが浮き上がってくる。走り始めてすぐにそのバイクの楽しさを引き出せるα-13のやさしさを感じつつ、さらにペースを上げてもしっかりとグリップするその特性に改めて好意を持つ。
 その良い印象のままα-14にチェンジ。同様に1周半ほど温めて3周目からアタック。1コーナーではハードブレーキから徐々に緩めながらクリップに寄せて、今度はアクセルをしっかり開けてリアを食わせる。緩やかなS字を切り返して1ヘアにアプローチ、その後ダンロップアーチ下で切り返し2ヘアへ。バックストレートでは速度リミッターが効いてしまうため最終へのツッコミは甘いが、反対に最終の脱出は早い段階からアクセルを開ける。何のストレスも違和感もない、こんな楽しい周回を重ねていくのだが、そのうち頭に? が浮かび始めた。そもそもα-13で全く不満がなく、α-14装着車に乗り換えても大きな違いが感じられなかったのだ。ハンドリングの軽さは多少あるかもしれないが、ハードにブレーキを握りながら旋回を始めると路面をしっかりとグリップしながら旋回していく感覚は特に軽快という感じではなくむしろ安心感のあるグリップ力という印象で、またリアについても同様で明確な違いを感じとることができずに困ってしまった。
 このことを技術者に伝えると、特にリアについては限界領域までしなやかさが続くはずだから、そこの違いを意識して乗ってみて下さいとのアドバイスを得て、今度はMT-09でコースイン。同様にα-13装着車からスタートし、やはり同様に良い印象なのだが、しかし何かマイナスポイントというか、もう少しこうなれば、という要素を見つけるべくわざと雑な入力をしたり深いバンクからアクセルを開けていったりしてみた。するとあるコーナーでリアがタタタと逃げることに気づき、ではα-14でこの症状が起きなければ一つの変化を感じることができたことになる、と乗り換えた。ところがα-14でも同じ場所で同じことが起きてしまったのだ! これには頭を抱えた。もう技術者に相談するしかない。


ズラリと並んだ試乗車はYZF-R1などスーパースポーツモデルから、R-25のような250ccモデルまで多岐に渡った。サーキットでは割り当てられた2機種の他にニンジャ400にも試乗できた

サイド部には新たに「粘着系ゴム」を配置したそうで、立ち上がりの早い段階からアクセルを開けることを支えてくれ
ズラリと並んだ試乗車はYZF-R1などスーパースポーツモデルから、R-25のような250ccモデルまで多岐に渡った。サーキットでは割り当てられた2機種の他にニンジャ400にも試乗できた。 サイド部には新たに「粘着系ゴム」を配置したそうで、立ち上がりの早い段階からアクセルを開けることを支えてくれる。

答え合わせ

 違いが感じられなかったのに感じられたとは書けないし、感じられた気がするとすら書きたくない。技術者の方にもわかったフリして接するのではなく、素直に「タイム計測をすれば違いが出るかもしれませんが、乗ったフィーリングに限定して言えば全くといって良いほど違いが分かりませんでした」と申し上げた。
 答えて下さったのは二輪技術技術部の原 憲悟部長。 



サーキット走行においてはほぼ違いが感じられなかった筆者の疑問に答えてくれたのは、二輪技術技術部の原 憲悟部長。あれやこれやと質問するのに対し丁寧に答えてくれた

「リアのしなやかさについては違いが分かってもらえると思ったんですけどねぇ(笑)」とおっしゃったが、しかし一方で、α-14はしなやかで安心感を持ってアクセルを開けていけるが、限界領域での剛性はα-13の方が高く、サーキット走行で限界を求める走りをする場面に限定した場合、その感覚の違いはライダーの好みによって分かれる可能性はある、との見解も示してくれた。またサーキットでのタイムについても、α-14の方が圧倒的に秀でているということもなく、しなやかさが向上したことにより、より万人が、より安心して、より攻め込んでいける特性に変化しているということなのだ。

サーキット走行においてはほぼ違いが感じられなかった筆者の疑問に答えてくれたのは、二輪技術技術部の原 憲悟部長。あれやこれやと質問するのに対し丁寧に答えてくれた。

 またフロントタイヤの軽快感についてもそんなに違いがあるとは思えない旨を伝えると、サーキットではハードブレーキングからタイヤを変形させたまま旋回に入るため、違いが分かりにくいとのこと。「積極的に荷重が掛けられない公道の方が違いが分かるでしょう。午後の公道試乗にご期待ください!」とのことだった。



公道での試乗はグラディウスで行った。もともと素直なバイクだが、α-14では本当にスイスイと切り返せてバイクがさらに軽くなった印象。ハイグリップタイヤながら、特別タイヤを地面に押し付けるようなことをしなくてもコロコロと転がりながらしっかりとグリップしている印象だった
公道での試乗はグラディウスで行った。もともと素直なバイクだが、α-14では本当にスイスイと切り返せてバイクがさらに軽くなった印象。ハイグリップタイヤながら、特別タイヤを地面に押し付けるようなことをしなくてもコロコロと転がりながらしっかりとグリップしている印象だった

 さて公道での試乗だが、ここでは面白いほど違いが分かった。α-14は確かに軽快であった。公道でのワインディングを流すような場面では、サーキットのようにフロントブレーキを強くかけるなどということは少なく、場面によってはエンジンブレーキのみでアプローチして旋回につなげていくことも少なくない。そんな場面でα-13では一定の粘っこさがあったのに対し、α-14はスッスッとバンクし非常に軽快に感じることができた。むしろα-13の粘っこさに慣れた後では軽すぎてちゃんとグリップしているのか不安を覚えるほどだったが、慣れてくるうちにその不安はなくなり軽快さとグリップのバランスを楽しむことができたのだ。この部分においては明確な性格の違いを感じることができてホッとしている。

私的結論

 サーキットではα-13からの進化は特に感じられず、一方で公道では軽快なハンドリングが光った新作α-14。ということはα-13ユーザーはサーキット走行会を楽しんでいる人でも、公道ワインディングを楽しんでいる人でも、そのままα-14へとシフトして何ら問題は感じないはずだ。公道においてはヒラヒラしたハンドリングに最初は驚くかもしれないが、すぐ慣れてバイクが軽く感じられるのではないかと思う。
 そしてここまで触れずに来たが、とても大切な進化がある。それはなんと20%も向上しているライフだ。ハイグリップタイヤはそのグリップ性能は美味しいが寿命が短くて困る、という人も多いはずである。事実、このαクラスのハイグリップタイヤは高速道路を元気に走る人だったら5000キロも持たないだろう。しかもこれらハイグリップ系タイヤは安い買い物ではなく、グリップ性能やスポーツ性能を犠牲にすることなくライフが伸びるのは誰でも歓迎するはずだ。個人的には最も歓迎する進化である。
 ワインディングを楽しむツーリングライダー、たまに走行会にも参加してサーキットを走るというスポーティ路線のライダー両方にお薦めすることができるαシリーズだったが、軽快性の向上とロングライフ化で、最新の「14」もやはり薦めることができる銘柄となった。来シーズンは新品タイヤで走り出し、サーキット走行も楽しんでいただきたい。

近年のタイヤ事情をおさらいしよう

 バイクの進化はおおよそ行くところまで行って、ここからは電子制御や環境規制との兼ね合いであったり味付けの部分だったりの違いかな? というイメージがあるが、しかしタイヤの進化は本当に日進月歩だ。新作タイヤはほぼ必ずといって良いほど旧作よりもハイグリップでロングライフと言っていいだろう。さらに「そのぶん雨や冷たい路面は苦手ですけどね」というマイナスポイントが付くことも、公道向けのタイヤにおいてはほぼない。タイヤに持たせる性格を変化させるのではなく、本当の意味ですべての性能が底上げされるということがほとんどであり、タイヤについては最新のものを履くのに限る。

 さて、ダンロップの公道向けラジアルタイヤラインナップはスポーティでサーキットも十分使えるαシリーズと、ツーリングやストリートに向けたしなやかでおおらかな特性を持つGPR300と、その間にロードスポーツ、ロードスマート3と大きく分けで4銘柄。さらにサーキットだとかレースという人はα-13SPがあるがこれは特殊な例だろう。この中で、ハイグリップでサーキット走行会でも十分以上に楽しめる上、様々な路面に出くわすツーリングシーンでも神経質さのないαシリーズは長く支持を集めてきた。



国分氏

 αシリーズをおさらいすると、懐かしのGPR70SPの時代から脱皮するようにα-10が登場。後にα-11にバトンタッチする。ラジアルタイヤの特性である、コーナリングフォースでタイヤを潰して曲がるというものに、もっと気軽に楽しめるバイアスタイヤの特性→バイクを寝かせることで起きるキャンバースラストを利用して曲がる、をプラスしてそのナチュラルな特性でファンを増やしていった。α-12になるともう少しラジアルタイヤらしさをプラスしていこうという方向性になり、新ビードなどを採用してダンロップとしては大きく特性を変えたタイヤだそうだ。そのα-12がリファインされたα-13、そしてそのα-13から今度はゴムのコシを上げることでタイヤにもっとクッション性を持たせ、さらにライフも20%向上させたのが今回のα-14だ。

 タイヤメーカーによってさまざまなネーミングが展開される各タイヤだが、ダンロップのαシリーズについてはわかりやすく数字が増えており、単純に数字が大きい方が総合的に高性能と捉えて問題ない。まずここがクリアなのがユーザーとしてわかりやすいじゃないか。

α-14が目指したもの

 タイヤ性能が日進月歩なのは間違いないが、しかし定期的に新作が出るわけで、そうなるとその性能の進化を必ずしも感じ取れないこともある。そこでα-14の進化ポイントを記しておこう。①α-13の軽快なハンドリングに、手応え・旋回力をプラス。②新技術を採用し、吸収性・接地感と剛性感を両立。③ドライグリップを大幅向上しつつライフ性能も向上。と、この3点が主なものである。簡単に言えば、α-13のハンドリングを踏襲し、吸収性・接地感・ドライグリップを進化させつつ、長寿命化も果たしたわけだ。まさに正常進化であり、全ての性能の底上げだ。

 これらを達成するためにはα-13から多くの変更が加えられている。
 まずはパターンの変更。フロントはバンク角が増すほどに剛性が高まるよう配置して旋回時の手ごたえとバンク時の過渡特性を向上させると共に、リアは全体的にパターン剛性を強化してグリップとトラクションを向上させている。
 プロファイルについてはリアの外径を大きくとることでクイックなハンドリングを狙うのはα-13から踏襲し、フロントは新たにラジアスを少なく(幅狭にして尖った形状に)することで軽快感を実現。リアはトレッドエッジのゴム厚を薄くすることでサイドウォールの吸収性を向上させている。
 新製法の2カットベルト構造を採用するフロントはこれまでバンク角の増大と共に低下していた手応えを、むしろバンク角と共に高まるように設定。バンク時のコード張力を高める新製法が確立されたことで従来は難しかった軽快性と接地感・安心感の両立を果たしている。
 もう一つ触れておきたいのはスリムビードAPEXだ。タイヤのフチ部に配置されるこのスリムビードAPEXだが、α-13比で先端を細く、そして根本の厚みを最適化。これにより低荷重時のしなやかな吸収性と共に、高荷重時には踏ん張りを発揮するといい、今回のα-14の大きなポイントでもあるタイヤ全体の吸収性に大きく貢献している。


新タイヤの内部構造。フロントタイヤはバンク時のコード張力を高める新製法を採用して、軽快性と旋回時の手ごたえを両立。リアはベルトの張力分布を均一化したことで特に中間バンク時の接地圧分布を安定させている

タイヤのフチに入っているスリムビードAPEXの断面図。右が従来のα-13で、薄く長い設計のためしなやかさがあったものの、高荷重時には腰砕けのような症状が起きることもあったそう。それに対し、新作α-14は根元をしっかりと太くとり、先端はさらに細くしなやかにすることで、しなやかさと剛性感を両立。積極的にタイヤを路面に押し付けることができるようになったという
新タイヤの内部構造。フロントタイヤはバンク時のコード張力を高める新製法を採用して、軽快性と旋回時の手ごたえを両立。リアはベルトの張力分布を均一化したことで特に中間バンク時の接地圧分布を安定させている。 タイヤのフチに入っているスリムビードAPEXの断面図。右が従来のα-13で、薄く長い設計のためしなやかさがあったものの、高荷重時には腰砕けのような症状が起きることもあったそう。それに対し、新作α-14は根元をしっかりと太くとり、先端はさらに細くしなやかにすることで、しなやかさと剛性感を両立。積極的にタイヤを路面に押し付けることができるようになったという。

 最後にコンパウンドだが、これは従来の5分割から3分割へと変更。新ブレンドによりサイド部は粘着系のハイグリップコンパウンドを使うことでα-13以上のドライグリップを、そしてセンター部はグリップとライフの向上を果たしている。

 長くなってしまったが、これがα-13からの主な進化ポイントであり、α-14に多くの新技術が投入されたことがわかるだろう。さらに技術的な部分と実際の使用環境との関連性、もしくはアナタのバイクとのマッチングなどについては専門店にて相談してみてほしい。

※サイズラインナップ等はダンロップのHPにてご確認ください。