高速料金、125cc免許、三ない、原付… 袋小路に入ったような論議はもういらない! 自民党政務調査会(政調)に設けられた二輪車問題対策プロジェクトチームとは

裏庭の徒然草 高速料金、125cc免許、三ない、原付… 袋小路に入ったような論議はもういらない! 自民党政務調査会(政調)に設けられた二輪車問題対策プロジェクトチームとは
 この3月9日、自由民主党本部で、同党の正式機関として政務調査会(政調、稲田朋美会長)に設立された「二輪車問題対策プロジェクトチーム」の第1回会合が開催された。これまでの様々なバイクの利用環境を改善させる動きに大きな石が投じられた。そこから出た波紋が二輪業界を揺らしている。一気にバイクの利用環境が変わるうねりとなるのか? それとも? 大きな期待と少しの不安。もちろん、我々が望むのは二輪行政の大変革だ。(取材●近藤健二 2016年6月14日更新)
●こうすれば要望が通るという決め手がなかった

 ご存知のように二輪車をめぐる利用環境上の様々な課題については、二輪車の販売店の集まりである全国オートバイ協同組合連合会(AJ)に続いて国内メーカーの集まりである日本自動車工業会・二輪車特別委員会のふたつの組織が行政や立法に根強く情報発信や申し入れ活動を行ってきている。その場合の多くは各与野党の二輪車に関心が深い議員で構成された「オートバイ議連や懇話会」を相手、あるいは窓口にしての交渉であった。もちろんそれらは、一定の効果や問題解決への前進に繋がってはいたものの、今一つ「決定打」「現状打破」には直に結びつかない、言ってしまえば「奥歯にものがはさまった」ような「会議は踊って継続・袋小路」状態であったことは否めなかった。そういう状況に出席する議員側からも「このままではダメだ」の声が挙がり、自民党オートバイ議連の幹事長である今村雅弘議員あたりが中心になったと言われるが、前述した政調に二輪車問題の対策を図るプロジェクトチーム(以下PT)が設立された。

●自民党の政務調査会の仕組みとは?

 各政党には党としての政策を決める政策部会があるのだが、自民党のそれは政務調査会、俗に政調と呼ばれている組織がそれに当たる。同党の国会議員と総裁が委嘱した学識経験者などで構成され、例えばこの場合、自民党が推し進める政策の調査・研究と立案をして審議決定する。逆に言えば自民党が採用する政策や国会に出す法案は、この政調、政務調査会の審査を経なければならないのだ。こうして政務調査会で決定された政策は直ちに総務会に報告され決定される。一般に総務会で決定されると「反対は許されない」党議拘束がかかるとされている。つまり自民党の政策として決定されるわけだ。


自民党オートバイ議連の逢沢会長と三原事務局長が自民党政務調査会の稲田会長に説明

3月9日のPT第1回会合で要望を説明するAJ吉田会長
自民党オートバイ議連の逢沢会長と三原事務局長が自民党政務調査会の稲田会長に説明。 3月9日のPT第1回会合で要望を説明するAJ吉田会長。
●すでに開催されたPTの会合では

 すでに二輪車問題対策PTの会合は5月末時点で3回開かれている。前述した第1回の会合で今後の進め方が決められ、第2回会合(5月18日)では自工会から「高速道路料金区分の二輪車独立化と料金適正化」、AJからは「125cc未満の新車販売時におけるインセンティブの支給」、三ない運動に詳しい赤池議員から出た「三ない運動に対しての文科省の取組み」などが話し合われた。続いて第3回会合(5月26日)では自工会から「小型限定普通二輪(125cc)免許取得時の負担軽減」、AJから「二輪車駐車場の整備・拡充」、前回と同じく赤池議員から「三ない運動」などが話し合われた。今後の展開としてはおそらく参議院選挙終結までは大きな動きはないとされるが、選挙後に大きく進展して、何らかの結論(提言書)が出されるとの観測もある。

●答えを迫られる横串刺されたお役人

 会合の雰囲気としては行政に対してかなり厳しい論調が目立っており、例えば第2回目の会合では逢沢座長が「高速道路問題はこのPTの1丁目1番地の問題だ」との認識を示し、タテ割りの行政に対して「横串を刺した状態」での答えが行政が求められ、「答えはいつ出るのか。次には必ず答えを」と叱責され立ち往生するような場面もあるという。余談だがお役人の中には「検討することを検討中です」というような苦し紛れ?の回答もあった。

●「多くの国民が求めていることか」という課題も

 ただ、業界側にも出された注文もあり、その中でも考え方を早急に統一しなければならないような課題もある。それは議員側から出た「この際、原付そのものを見直したらどうか」発言だ。ある意味ではガラパゴス状態と言われる日本独自の原付そのものをまとめる意味で魅力的な、しかし対応を誤ると諸刃の刃になりかねない課題だ。これに、特にメーカーとして自工会がどう応えていくか、売る側のAJの考えは…など難問ではある。さらに最終的な段階では「多くの国民がそれを求めているのか」が問われ「今の状況では国民的な納得感がないのではないか」という指摘をする議員もいたという。ライダーがこれらの問題を第三者的に捉えるのではなく、自分自身の問題と認識し、発信していく事が求められているわけだ。

※自工会・二輪車特別委員会・世古企画部会長「2011年1月からメーカーとして本格的にロビー活動して5年、ようやくここまで来ました。何らかの結果を出さないといけません。それも良い結果を出していただけたらと思っています。議連からの発想で党の問題として取り上げるのは期待が大きいです」。

※AJ吉田会長「議連が二輪同好会、サークルだとすると政調のPTは正式な、本格クラブの空気。二輪のようなコアなPTが設けられるのは珍しいと聞いています。ぜひ最終的に総務会に上げられ、二輪車の問題、課題が自民党の党としての政策になって欲しいと願って、要望を続けていきます」。


5月18日、PT第2回会合で挨拶する逢沢座長

5月26日、大盛況となったPT第3回会合
5月18日、PT第2回会合で挨拶する逢沢座長。 5月26日、大盛況となったPT第3回会合。
●その他、自工会やAJが要望している項目をまとめると

 自工会が要望しているのは——
1.二輪車ETC購入助成金の支給とETC割引料金の導入
2.高速道路料金区分の独立化と料金適正化
3.二輪駐車場の整備・拡充
4.小型限定普通二輪(125cc)免許取得時の負担軽減

 AJが要望しているのは——
1.二輪車のETC料金導入とETC購入助成金の支給
2.二輪車の高速道路料金車種区分の独立
3.125cc未満の新車販売時におけるインセンティブの支給
4.二輪車の軽自動車税増税分等を充当することによる二輪駐車場
5.小型限定普通二輪(125cc)免許取得時の負担軽減
6.バス専用通行帯の運用基準の統一と二輪車の高速道路・路側帯の避難利用

●二輪車問題対策プロジェクトチーム名簿(敬称、略)
座長:逢沢一郎 座長代理:塩谷 立/小坂憲次
顧問:小池百合子/額賀福志郎/野田 毅
幹事長:今村雅弘 事務局長:三原じゅん子 事務局次長:宮澤博行
幹事:秋元 司/黄川田仁志/小里泰弘/笹川博義/田中良生/橘 慶一郎/中根一幸/宮崎政久/山際大志郎/岩井茂樹

■古・編集・長 近藤健二
ミスター・バイク本誌の編集長を4代目(1977年9月号~1979年10月号)&7代目(1985年4月号~2000年6月号)の永きにわたり務め上げた名物編集長。風貌も含め、愛されるキャラクターであり、業界内外に顔が広い「名物編集長」であるところは万人が認める。が、「名編集長」かと問えば万人が苦笑で答える。悠々自適の隠遁生活中かと思えば、二輪業界の社会的地位を向上すべく老体にムチ打って今なお現役活動中(感謝)。ちなみに現在の肩書き?「古・編集・長」は「こ・へんしゅう・ちょう」ではなく「いにしえ・へんしゅう・おさ」と読んでください。
古・編集・長 近藤健二

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